3.延性破壊|材料強度学
延性破壊とは
延性破壊は破壊するまでに大きな塑性変形を伴うのが特徴です。常温の鋼や銅、アルミなど、比較的伸びの大きい金属材料に過大な荷重を加えて破断させると見られる破壊形態です。一般に大きな変形を伴ないながら最終的な破断するため、破壊の兆候が検知できる場合が多いです。
延性破壊の破面の特徴
延性破壊を起こした破面には、ディンプルと呼ばれる穴ぼこ状の模様が観察されるのが特徴です。ディンプルの発生メカニズムや、破面の電子顕微鏡写真は以下のサイトが参考になります。
- Seiten's Homepageのホームページ:破面の種類/ディンプルパターン写真
- エムエス・ラボのホームページ:材料の強度と破壊/第4章 破壊(Fracture)
原因
前述のように延性破壊は大きな塑性変形を伴い、材料の降伏応力以上の過大な応力下で発生する破壊です。したがって、そもそもの荷重の見積もりを誤った設計ミスか、想定外の使われ方をされたか、あるいは事故などによって過大な応力が発生して破壊に至ってしまったと考えられます。
また、2次的な破壊として起こる場合もあります。2次的というのは主たる原因が別にあるという意味です。例えば、疲労破壊で亀裂が発生した場合、亀裂の進行によって残った断面がどんどん小さくなっていきます。そうすると最終的には入力荷重に耐え切れなくなって破断してしまいます。この時の破壊形態は、比較的伸びの大きい材料であれば延性破壊となります。
対策
そもそも、ほとんどが設計ミスだとすれば、事前に荷重をしっかり見積もることができれば問題は起きないはずです。したがって、機械装置が稼働中に受ける荷重を、計算あるいは実測することによりしっかり把握することが第一です。変形モードにもよりますが、その荷重にによって発生する応力が引張り強さ以下になるように検討すればいきなり破断することは防げます。一般には少なくとも降伏点以下になるように設計した方が無難でしょう(降伏点を超えると変形してしまうため)。この時、負荷の頻度が少ないことが条件です。頻度が多くなると、疲労破壊の影響を無視できなくなるためです。
ちなみに想定外の使われ方というのも多くは設計ミスと思われます。ユーザがどう使うのかということを事前にしっかり把握することが重要です。