12.断面二次極モーメント|材料力学
また名称が似ていて混乱しそうですが、本項では断面二次極モーメントについて説明します。前項の断面二次モーメントと同様に部材の断面強度を表すパラメータなのですが、断面二次極モーメントは、特にねじれ剛性に関わるパラメータとなります。
丸棒の断面二次極モーメント
図12-1は丸棒の断面を表しています。直径はdで、断面内部に赤色で示す仮想の微小領域を定義します。この微小領域の幅を限りなく小さいdrとし、そこまでの距離をrとします。
断面二次モーメントと同様な考えで、ある微小領域までの距離の2乗×微小領域の面積を断面全体で積分します。
これを式に書きますと以下の式(12-01)のようになります。( )のところが微小領域の面積dAを表します。ここで、断面二次極モーメントをIpという記号で表すこととします。
・・・(12-01)
式(12-01)と解いていきますと、
・・・(12-02)
・・・(12-03)
・・・(12-04)
ということで、丸棒断面の断面二次極モーメントは式(12-04)のようになります。
前項の断面二次モーメントもそうですが、基本的な定理(例えば微小面積に距離の2乗を乗じたものというのような)だけは理解しておいてください。そうすれば複雑断面の問題でも、このような計算で簡単に求めることができるようになります。
任意断面の断面二次極モーメント
上記では丸棒について説明しましたが、このやり方だと中空・中実の丸棒には対応できますが、その他の断面、例えば角材などはどのように表すのでしょうか。
実は単にx軸に関する断面二次モーメントと、y軸に関する断面二次モーメントを足したものになります。これを表したもの下式(12-05)です。
・・・(12-05)
断面二次モーメントはどんな断面でも求めることができますから、結局任意の断面の断面二次極モーメントを求めることができます。しかし、複雑断面になりますと、ねじりを受ける面が均一でなくなるためこの考え方では誤差が大きくなる場合があります。
しかしこの考え方は重要で、任意断面部材においてねじり剛性を上げる必要が生じた場合は、式(12-05)よりx,y軸の両軸に対する断面二次モーメントを向上させる必要があるということを理解してください。