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8.CAE技術者の役割|CAEの効果的活用法

CAEはこれまで書いてきたように誰でも簡単にとはいかない厄介なツールです。したがって、そういったツールの特性を理解し、また対象分野の技術的な背景なども理解した技術者、いわゆるCAE技術者の存在が不可欠であると考えます。

ここで、CAE技術者の役割について整理してみたいと思います。

設計者が対応できない解析案件への対応

”設計検討時に用いるCAEは設計者が実施すべき”と前項で書きましたが、これは事前に解析方法が標準化されてある装置だったり、構造や機能が単純なのもについてであり、実際の設計現場においてはそれ以外の状況というのもたくさんあります。例えば、標準がまだ整備されていないという状況も多いでしょうし、全く初めての構造とか、実機試験にはない特別な評価(市場不具合を再現させるため評価等)をしなければならなかったりだとか・・。あとは非線形領域などの高度分野の解析もそうです。

このようなイレギュラーなCAEや高度分野、あるいは先に述べた実機試験の代替としてのCAE(あるいはそれに付随するような比較的大規模な解析)、等についてはCAE技術者が責任を持って解析すべきだと考えます。もちろん設計者にそのスキルがあって時間的な余裕もあるのであれば自ら実施しても問題ありません。しかし多くの場合、設計者がそこまで対応するのは難しいのではないでしょうか。

解析標準の作成

CAE技術者は設計者が効果的にCAEを活用できるように解析標準を作成することも重要な業務の一つです。前述のように設計者が効果的にCAEを活用するためには、解析標準があることが前提となっています。このような標準の作成は高度な技術を持ったCAE技術者が行います。

しかしこれは設計者が利用することが前提の解析標準で、設計者が設計に専念できるように、あるいは設計者が技術的に考えることに関してCAEが効果的に支援できるようにしなければなりません。つまり、設計者が考えることを放棄してしまうような標準ではいけません。

新技術の開拓

CAEですべての現象がちゃんと解析できるとは限りません。むしろCAEで事前にしっかり実現象を予測できることの方が少ないです。

もしそれが、モデル化の範囲や境界条件、あるいは物性等、解析モデルに起因する問題であれば、どのようにモデル化すれば妥当なのかについてしっかり検討することで、ある程度は解決する問題です。そのような技術的な検討をCAE技術者が継続的に実施し、CAEで予測できる領域の拡大を図ることが重要だと考えます。

また、世の中の技術は日々進歩しています。一昔前では考えられなかったようなことが現在では簡単にできたりします。CAE技術者は常に技術動向をチェックすることも大切です。

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