5.誰にでも簡単に、とはいかないCAE|CAEの効果的活用法
やはり知識と経験が重要
前回書いたCAE活用のポイントは、誰でも簡単にというわけにはいかないと私は考えています。なぜなら、80点を狙う解析モデルは積極的に近似を導入する必要がありますが、どう近似するかということを決める作業には、多くの知識や経験が必要とされるからです。近似方法を決めてしまえば、モデル化作業自体は近似される分むしろ簡単になります。
また、結果の判断についてもそうです。ある程度自動化はできるかもしれませんが、システムは完ぺきではないので結果が妥当かかどうかは常にチェックする必要があります。解析結果から妥当な判断を下すことは、最も技術力が必要とされる工程です。
そう考えると、やはりCAEにはそれなりの知識や経験など、高い技術力が必要になると思います。だから私たちは常に勉強し、多くの技術的知識を吸収していく必要があるのです。また、知識だけではなく、実験なども自分でやってみるなど現象そのものを体感する経験も必要です。
そういった知識・経験があれば、
- 簡単に素早く必要な情報を得ることができるモデル化方針を立案することができるようになる。
- システムが出す膨大で怪しげなデータに惑わされず、必要な情報のみ抽出することができるようになる。
- 解析結果から的確な設計的判断を下すことができるようになる。
と私は考えます。
ちなみにCAEを扱う上で必要な知識にはどのようなものがあるかというと、解析対象の商品知識はもちろんのこと、使われ方や試験条件に関する知識、対象の物理現象に関する工学知識、数値計算を利用する上での計算力学に関する知識、設計に関する知識・・・等などです。
しかしこれを設計者に要求するのはきついと思います。ただでさえ忙しい設計者に、本業でないCAEに関していろいろ勉強しろなんて・・・。