4.CAE活用のポイント|CAEの効果的活用法
ではどのようにCAEを活用すべきなのでしょうか。CAE活用のポイントについて考えてみたいと思います。
完璧さを敢えて捨てる
まず、前提として現実を完全に再現するなど不可能だということを許容します。しかし 100点満点は無理でも80点ならなんとかなるはずです。CAE活用の鍵は、この”100点を狙わず80点※を狙う”ことだと思います。積極的に近似を導入して簡単に、素早くモデリングすることを心がけます。
前回述べた拘束についてもそうです。現実を完全に再現できないから使えないということではなく、完全に再現する必要などないのです。重要なのは設計的判断に必要な情報をCAE解析により効率的に得ることです。それが得られれば、モデル的に切り捨てる部位があったとしても構いません。例えば拘束部位など。拘束部位は通常大きな応力集中を伴うので評価すべきではありません。それ以外が”それなりに”評価”できればよいのです。
こういった完璧さを捨てることで、かなり簡単に、素早くを実現することができます。例えばビーム要素やシェル要素だけで構造を表現してもよいかも知れません。そんなモデルでも得られる有用な情報はたくさんあります。
CAE活用のポイント
「100点を狙わず、80点でよいので簡単に素早くモデリングし、設計に必要な解析結果を出す」
ここで注意したいのは80点であるがゆえに、ある程度バラツキを考慮した判断が必要になるということです。例えば安全率などの考え方です。
※後述しますが、概念設計など比較的設計の上流でCAEを活用する場合にはもっと低い点数でもよいかもしれません。絶対的な値はともかく、相対的に各設計案の良否が判断できればよしとします。