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回路基板の落下解析|Abaqusチュートリアル

(Abaqusバージョン:Abaqus 6.9 Student Edition)

本項では回路基板の落下解析について説明します(付属のマニュアルにも掲載されている事例です)。一般に落下や衝突などの短い時間で起こる衝撃的な現象を解析するには陽解法と呼ばれる手法が用いられることが多いです。Abaqusはこれまで説明してきたような静的な現象を解析をするのに適している陰解法だけでなく、このような動的な現象を解析するのに適している陽解法にも対応しています。陽解法と陰解法の違いについてはこちらを参考にしてください。

回路基板の落下解析

概要

解析の条件は下図のようになります。状況としては緩衝材の付いた回路基板が1000mmの高さから落下した時の挙動を解析します。この例では重力加速度は考慮せず、1000mmの高さから落下した時の到達速度を初速度として回路基板と緩衝材に与えます。よってそれぞれのパーツは衝突直前の状態で配置しています。一般に落下解析ではこのような方法により、解析時間の短縮を図ります。

緩衝材のジオメトリ作成

パートの作成

モデルツリーパート上で右クリックして現れるメニューにおいて作成をピックします。ちなみにパートダブルクリックすることでも同じ操作をすることができます。

以下のパートの作成ダイアログにより、どのような形状作成するのかを定義します。ここでは3Dモデルを作成しますので、名前:Packaging、モデリング空間:3次元、タイプ:変形体、形状:ソリッド、タイプ:押し出し、近似サイズ:200を入力します。

設定が終わりましたら、続けるのボタンをクリックします。これによりビューポートはグリッドが表示されたスケッチ画面に切り替わります。

外形のスケッチ

"直線の作成、矩形(4ライン)"により、ビューポート上で断面の頂点となる対角の2点をクリックします。続いて下図に示す寸法となるように、"寸法の追加"により寸法を追加します。今回は縦24mm、横20mmの矩形断面となります。

奥行きの定義

寸法定義が終わりましたら、Escで寸法定義の状態から抜けてプロンプトエリアの完了ボタンをクリックします。そうしますと、緩衝材の奥行きを入力する"ベースの押し出しの編集"ダイアログが現れますので、奥行きに110と入力し、OKボタンをクリック

下図のように3Dモデルができました。

溝の作成

次に回路基板を挿入する溝を作成します。ツールボックスエリアから"切り出しの作成:押し出し"をクリックします。下図のように@溝をスケッチする面をクリックAスケッチ面の基準となる右側のエッジをクリックします。

スケッチ画面に切り替わりますので、下図のような溝形状を"直線の作成、矩形(4ライン)"、"寸法の追加"を使ってスケッチします。溝形状は縦12mm、幅2mmです。

寸法の入力が終わりましたら、Escを押すかプロンプトエリアの×ボタンを押して寸法追加の状態から抜け、プロンプトエリアの完了ボタンをクリックします。

次に現れる切り出し押し出しの編集ダイアログにおいて、タイプに貫通を選択してOKボタンをクリックします。

下図のような緩衝材の3Dモデルが完成しました。

データムポイントの作成

部品の配置時の基準点となるデータムポイントを溝の中心に作成します。"データムポイントの作成:2ポイント間の中間"を用いて溝底エッジの中心点を2点(両端)選択します。

下図のように溝底面の中心にデータムポイントが作成されました。

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回路基板の作成

パートの作成

モデルツリーパート上で右クリックして現れるメニューにおいて作成をピックします。

以下のパートの作成ダイアログにおいて、名前:board、モデリング空間:3次元、タイプ:変形体、形状:シェル、タイプ:平面、近似サイズ:500を入力します。

設定が終わりましたら、続けるのボタンをクリックします。これによりビューポートはグリッドが表示されたスケッチ画面に切り替わります。

回路基板のスケッチ

スケッチ画面で下図のような形状を"直線の作成、矩形(4ライン)"、"寸法の追加"を使ってスケッチします。寸法は150×100mmです。

寸法の入力が終わりましたら、Escを押すかプロンプトエリアの×ボタンを押して寸法追加の状態から抜け、プロンプトエリアの完了ボタンをクリックします。

下図のような回路基板の3Dモデルが完成しました。

回路基板にチップの質量要素を配置するためのデータムポイントを3つ作成します。ツールボックスエリアのデータムポイントの作成:ポイントからのオフセットをクリックします。

オフセット元のポイントとして左下角の点を選択し、1つ目データムポイントの座標値(10,135)を入力してEnterキーを押します。同様にして残りの(70,90)、(80,30)の2点を作成します。下図は3つ目のポイントを作成するところ。

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床面の作成

床は剛体としてモデル化します。剛体の表現にはいくつかありますが、ここでは離散化剛体を用います。つまりシェル要素で構成された剛体定義で自由な形状を表現できます(これに対して要素を用いない解析的剛体というモデル化方法もありますが、単純な形状に限られます)。

パートの作成

モデルツリーパート上で右クリックして現れるメニューにおいて作成をピックします。

以下のパートの作成ダイアログにおいて、名前:floor、モデリング空間:3次元、タイプ:離散化剛体、形状:シェル、タイプ:平面、近似サイズ:500を入力します。

設定が終わりましたら、続けるのボタンをクリックします。これによりビューポートはグリッドが表示されたスケッチ画面に切り替わります。

床面のスケッチ

スケッチ画面で下図のような形状を"直線の作成、矩形(4ライン)"、"寸法の追加"を使ってスケッチします。寸法は200×200mmです。アセンブリの時に都合のいいように、スケッチ画面の中心と床面の中心が一致するようにスケッチします。

寸法の入力が終わりましたら、Escを押すかプロンプトエリアの×ボタンを押して寸法追加の状態から抜け、プロンプトエリアの完了ボタンをクリックします。

下図のような回路基板の3Dモデルが完成しました。

ツールボックスエリアのデータムポイントの作成:ポイントからのオフセットをクリックします。

オフセット元のポイントとして左下角の点を選択し、床面の中心(100,100)にデータムポイントを作成します。

メニューバーからツール/参照点をクリックし、先ほど作った床面中心のデータムポイントを選択します。

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材料の定義

今回は回路基板と緩衝材で2種類の材料特性を定義します。回路基板はPCBを想定した弾性材料、緩衝材は可懐発泡塑性モデル(いわゆる発泡スチロール?)を用いてモデル化します。

回路基板の材料特性

まずは回路基板の材料特性を定義していきます。モデルツリーにおいて材料特性の項目の右クリックメニューから"作成"を選択(材料特性の項目をダブルクリックでも可)。

上記操作によって現れる"材料特性の編集"ダイアログにおいて、名前に"pcb"と入力します。さらにダイアログ内メニューの機械的/弾性/弾性を選択、ヤング率45000000[mN/mm^2]、Poisson比0.3と入力します。さらに一般/密度を選択し、密度0.5e-6[kg/mm^3]と入力します。OKボタンをクリックしてダイアログを閉じます。

緩衝材の材料特性

次に緩衝材の材料特性を定義します。緩衝材は可懐発泡塑性モデルを用います。モデルツリーにおいて材料特性の項目の右クリックメニューから"作成"を選択(材料特性の項目をダブルクリックでも可)。

上記操作によって現れる"材料特性の編集"ダイアログにおいて、名前に"Foam"と入力します。さらにダイアログ内メニューの機械的/弾性/弾性を選択、ヤング率3000[mN/mm^2]、Poisson比0.0と入力します。さらに一般/密度を選択し、密度0.1e-6[kg/mm^3]と入力します。機械的/塑性/可懐発砲を選択し、圧縮降伏応力比に1.1、静水圧降伏応力比に0.1と入力します。

また可懐発砲のサブオプションのメニューから可懐発砲塑性硬化を選択します。これにより現れるサブオプションエディタのダイアログにおいて、以下の降伏応力と短軸塑性ひずみのデータを入力します。データリストはこちら

マニュアルに対して単位系を変更していますので注意してください。エクセルなどで表を作成すればコピー&ペーストで入力することができます。

OKボタンをクリックしてサブオプションエディタのダイアログを閉じます。

すべて入力が終わりましたら、材料特性の編集ダイアログのOKボタンをクリックしてダイアログを閉じます。

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要素特性の定義と割り当て

要素特性の定義

まず回路基板の要素特性を定義します。モデルツリーにおいて、要素特性の項目の右クリックメニューから"作成"を選択(要素特性の項目をダブルクリックでも可)。この時、自動で特性モジュールに切り替わります。

"要素特性の作成"ダイアログにおいて、名前にBoard_Sectionと入力、カテゴリでシェルタイプで均質を選択して、続けるボタンをクリックします。

"要素特性の編集"ダイアログにおいて、材料特性で先ほど定義したpcbを選択シェル厚に2と入力、OKボタンをクリックします。

同様に緩衝材のの要素特性を定義します。モデルツリーにおいて、要素特性の項目の右クリックメニューから"作成"を選択(要素特性の項目をダブルクリックでも可)。

"要素特性の作成"ダイアログにおいて、名前にPackagingと入力、カテゴリでソリッドタイプで均質を選択して、続けるボタンをクリックします。

続く要素特性の編集ダイアログにおいて、材料特性にFoamを選択してOKボタンをクリックします。

要素特性の割り当て

上記で定義した要素特性を3Dモデルに対して割り当てます。モデルツリーにおいて、パート、boardをそれぞれ展開します。boardの下位にある要素特性割り当てという項目の右クリックメニューから"作成"を選択します。

プロンプトエリアに"要素特性を割り当てる領域を選択してください"と出ますので、この状態でビューポート上の3Dモデル(board)をクリックします。正しく選択されましたらプロンプトエリアの完了ボタンをクリックします。

上記操作で現れる"要素特性割り当ての編集"ダイアログの要素特性で、先ほど定義したBoard_Sectionを選択して、OKボタンをクリックします。これによりboardに材料特性をセットした要素特性が割り当てられました。

同様に緩衝材に対しても要素特性を割り当てます。

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モデルのアセンブリ

今回のモデルは床面に対して斜めに落下させるため、それぞれの部品の配置作業が少々煩雑ですが、これを題材にアセンブリの配置ツールの使い方を習得していきましょう。

コンテキストバーからモジュールをアセンブリに切り替えます

床面の配置

床面に関してはデフォルトの配置でOKですので、インスタンスを作成するのみです。モデルツリーでアセンブリを展開してインスタンスの項目上の右クリックメニューから"作成"を選択します。

"インスタンスの作成"ダイアログにおいて、パートからfloorを選択、インスタンスタイプをディペンデントに設定してOKボタンをクリックします。

緩衝材の配置

ツールボックスエリアから、データムポイントの作成:座標値の入力をクリックします。プロンプトエリアに座標値を入力してデータムポイントを作成します。ここでは2 個のデータムポイントを (0, 0, 0) と (500, 707, 250) の位置に作成してください。作成したポイントがビューポートに表示されるようにツールバーから自動スケーリングをクリックしてください。

ツールボックスエリアから、データム軸の作成:2ポイントをクリックし、先ほど作成した2つのデータム点を選択します。この時 (500, 707, 250) の点を先に選択してください。

モデルツリーでアセンブリを展開してインスタンスの項目上の右クリックメニューから"作成"を選択します。

"インスタンスの作成"ダイアログにおいて、パートからPackagingを選択、インスタンスタイプをディペンデントに設定してOKボタンをクリックします。

ツールボックスエリアから拘束の作成:エッジとエッジをクリックします。

ビューポート上で下図のように駆動インスタンスとして梱包材のエッジ、固定インスタンスとしてデータム軸をクリックします。必要なら反転ボタンをクリックして、選択されたエッジに表示される矢印が向かい合うようにしてOKボタンをクリックします。

とりあえず以下のように配置されると思います。

ツールボックスエリアから、データムポイントの作成:座標値の入力をクリックし、 (-500,707,-500)の位置にデータムポイントを作成してください。 作成したポイントがビューポートに表示されるようにツールバーから自動スケーリングをクリックしてください。

ツールボックスエリアからデータム平面の作成:ラインとポイントをクリックします。

ビューポート上でデータム軸と先ほど作成したポイントを選択し、データム平面を作成します。

ツールボックスエアから拘束の作成:フェイスとフェイスをクリックします。

ビューポート上で駆動インスタンスとして緩衝材の底面を選択、固定インスタンスとして先ほど作成したデータム平面を選択します。

下図のように矢印が同じ向きになっていたらプロンプトエリアのOKボタンをクリックします。必要ならプロンプトエリアの反転ボタンをクリックして矢印が同じ向きになるようにします。

固定する平面からの垂直方向の距離は0.0のまま受け入れ、Enterキーを押して確定します。

ツールボックスエリアから拘束の作成:ポイントに一致をクリックします。

ビューポートにおいて、駆動インスタンスに緩衝材の最下点を選択固定インスタンスとして床面中心のデータムポイントを選択します。

これで緩衝材が配置されました。

これまで拘束などを用いて緩衝材を配置してきましたが、今後のモデルの編集によって矛盾が生じるのを回避するために緩衝材の配置を絶対的な配置に変換します。

メニューバーからインスタンス/拘束の変換をクリックします。

ビューポートから緩衝材を選択し、完了ボタンをクリックします。

床面の移動

ここで、緩衝材と床面との間に初期の食い込みを発生させないために、床面を0.1mm程下方向に移動させておきます。

ツールボックスエリアからインスタンスの移動をクリックし、ビューポートにおいて床面を選択します。プロンプトエリアで完了ボタンをクリックします。

移動ベクトルを決める最初のポイントとして(0,0,0)を入力(確定はEnterキー)、最後のポイントとして(0,0,-0.1)を入力します。よければプロンプトエリアのOKボタンをクリックします。

回路基板の配置

モデルツリーでアセンブリを展開してインスタンスの項目上の右クリックメニューから"作成"を選択します。

"インスタンスの作成"ダイアログにおいて、パートからboardを選択、インスタンスタイプをディペンデントに設定他のインスタンスからの自動オフセットにチェックしてOKボタンをクリックします。

ツールボックスエリアから拘束の作成:フェイスに平行をクリックします。

駆動インスタンスとして回路基板を選択、固定インスタンスとして下図に示す緩衝材の側面を選択します。両者の矢印が下図のようになったらプロンプトエリアのOKボタンをクリックして確定します。矢印の向きがおかしい場合は反転ボタンをクリックします。

ツールボックスエリアから拘束の作成:エッジに平行をクリックします。

駆動インスタンスとして回路基板の上側のエッジを選択、固定インスタンスとして緩衝材の長手方向のエッジを選択します。両者の矢印が下図のようになったらプロンプトエリアのOKボタンをクリックして確定します。矢印の向きがおかしい場合は反転ボタンをクリックします。

ツールボックスエリアから拘束の作成:ポイントに一致をクリックします。

ビューポートにおいて、駆動インスタンスに回路基板の下側エッジの中点を選択固定インスタンスとして緩衝材の溝の中心点を選択します。

これで配置が完了しました。正しく配置されると下図のようになるはずです。

チップ配置用の参照点の作成

回路基板上の3つのデータムポイントにチップ配置用の参照点を作成します。この参照点は後でチップを質量要素としてモデル化するために使用します。

メニューバーにおいてツール/参照点をクリックします。ビューポートにおいて、回路基板に作成したデータムポイントをクリックします。データムポイントをクリックするごとに参照点がRP-1、RP-2・・というように名前がついて定義されていきます。下図では上方から順にクリックして定義しました。3つの参照点を作成したらEscキーで参照点作成のコマンドから抜けます。

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解析ステップの定義

解析ステップの作成方法

モデルツリーにおいて、ステップ右クリックメニューから"作成"を選択します。この時、ステップモジュールに自動で切り替わります。

上記操作で現れる"ステップの作成"ダイアログにおいて、名前:Dropと入力、プロシージャタイプ:一般Dynamic,Explicitを選択して、続けるボタンをクリック

上記操作で現れる"ステップの編集"ダイアログにおいて、時間幅に0.02と入力Nlgeomをオンにチェック(デフォルト設定)し、OKボタンをクリックします。この解析ステップにより幾何学的非線形を考慮して0.02秒間に起こる現象を解析します。

フィールド出力要求の設定

モデルツリーにおいて、フィールド出力要求の項を展開し、F-Output-1の右クリックメニューから編集をクリックします。

フィールド出力要求の編集ダイアログにおいて、頻度:x時間ごと、x:0.0005と入力します。OKボタンをクリックしてダイアログを閉じます。

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接触条件の定義

相互作用特性の定義

すべての部品間に摩擦係数0.3で接触を定義します。Abaqusでは接触を相互作用で定義することができます。

まずは接触の特性について定義していきます。モデルツリーにおいて相互作用特性の右クリックメニューから作成をクリックします。

相互作用特性の作成ダイアログにおいて、名前にFricと入力接触を選択して続けるボタンをクリックします。

接触特性の編集ダイアログのメニュー、機械的/接触接戦方向の挙動を選択します。摩擦の定式化にはペナルティを選択摩擦係数に0.3を入力します。その他はデフォルト値を採用してOKボタンをクリックします。

相互作用の定義

モデルツリーの相互作用の右クリックメニューから作成をクリックします。

相互作用の作成ダイアログにおいて、名前にAllと入力ステップ:Drop、選択されたステップに対するタイプ:一般接触(Explicit)を選択し、続けるボタンをクリックします。

続く相互作用の編集ダイアログにおいて、含めるサーフェス対:すべて*(自己接触含む)を選択し、接触特性の全体の特性割り当て:fric(先ほど作成した相互作用特性)を選択します。最後にOKボタンをクリックしてダイアログを閉じます。

個別に接触面を指定したりなどもできますが、この方法が最も簡単な方法です。モデル規模が小さいときはこの方法が便利でしょう。しかし規模が大きい場合などにすべての接触を含ませてしまうと、計算時間が無駄にかかったりしますので、その場合は接触する部位のみに接触条件を設定するために個別選択などの方法をとります。

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結合拘束の定義

チップを回路基板に取り付ける設定を行います。モデルツリーの拘束の右クリックメニューから"作成"を選択します。

拘束の作成ダイアログにおいて、名前にTopChipと入力タイプに結合を選択して続けるボタンをクリックします。

プロンプトエリアでマスタのタイプにサーフェスを選択します。

ビューポート上で回路基板のサーフェスを選択して、プロンプトエリアの完了ボタンをクリックします。

プロンプトエリアにおいて、サーフェスのどちら側の面を選択するか聞かれますので、サンプルなのでとりあえずブラウン側を選択します(図の手前側にチップが取り付いていると想定します)。

プロンプトエリアにおいて、スレーブのタイプを聞いてきますので、節点領域を選択します。

ビューポート上で、一番上のチップを表す参照点(ここではRP-1)を選択して、プロンプトエリアの完了ボタンをクリックします。

拘束の編集ダイアログにおいて、設定可能であれば回転自由度を結合するのチェックを外し、OKボタンをクリックします。

同様の手順で真ん中のチップ(MidChip)と一番下のチップ(BotChip)を回路基板に拘束してください。

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チップへの質量の割り当て

参照点として作成したチップに対して質量を割り当てます。モデルツリーにおいて、アセンブリ/エンジニアリングフィーチャまで展開し、慣性の項目の右クリックメニューから作成を選択します。

慣性の作成ダイアログにおいて、名前にMassTopChipと入力タイプにポイント/慣性を選択して、続けるボタンをクリックします。

ビューポート上で、一番上のチップを表す参照点(ここではRP-1)を選択して、プロンプトエリアの完了ボタンをクリックします。

慣性の編集ダイアログにおいて、質量に0.005(kg)と入力して、OKボタンをクリックします。

同様にして、真ん中のチップの質量特性(MassMidChip)、一番下のチップの質量特性(MassBotChip)を作成します。いずれも0.005kgとします。

ここで表示設定を少し変更して見やすくします。メニューバーのビュー/アセンブリ表示オプションを選択します。

アセンブリ表示オプションダイアログにおいて、データムタブのデータム関係のチェックをすべて外しOKボタンをクリックします。

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境界条件の定義

拘束条件の定義

モデルツリーにおいて、境界条件右クリックメニューから"作成"を選択します。

上記操作で現れる"境界条件の作成"ダイアログにおいて、名前:fixステップ:Initialカテゴリ:機械的タイプ:対称/反対象/完全固定、を選択し、"続ける"ボタンをクリック

ビューポート上で、床面の中心の参照点を選択し、プロンプトエリアで完了ボタンをクリックします。一点の拘束だと不安定な感じがしますが、今回は剛体の床面ですので問題ありません。

上記操作で現れる"境界条件の編集"ダイアログにおいて、ENCASTREにチェックを入れ、OKボタンをクリックします。これは全自由度を拘束する設定です。

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初速度の定義

回路基板が1mの高さから落下する状況をモデリングする場合、床面から1mの高さに回路基板を配置して重力加速度により落下させるというモデリングもできますが、床面に衝突するまでの計算時間がもったいないので、衝突直前のところに回路基板を配置して1mのところから落下した相当の速度を与えて解析することが一般的です。

初速度の計算

高さhのところから落下した時の速度は以下の公式で計算することができます。

v:速度、g:重力加速度、h:高さ

g=9810[mm/s^2]、h=1000[mm]とすると、v=4429[mm/s]となります。

初速度の定義

モデルツリーにおいて、規定場の右クリックメニューから作成をクリックします。

規定場の編集ダイアログにおいて、名前にinit_velと入力、ステップはInitiial、カテゴリは機械的を選択、選択されたステップに対するタイプで速度を選択し、続けるボタンをクリックします。

ビューポート上で回路基板、緩衝材、3つのチップをマウスをドラックすることにより一度に選択して、プロンプトエリアの完了ボタンをクリックします。この時、ツールバーから遠近画法をオフにして、下図のように整列させると選択しやすくなります。

規定場の編集ダイアログにおいて、V3に先ほど計算した初速度-4429を入力します。-z方向なので負の値となります。OKボタンをクリックしてダイアログを閉じます。

下図のように矢印のアイコンが表示されて初速度が設定されたことが確認できます。

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モデルのメッシュ分割

メッシュモジュールへの切り替え

最初に回路基板にメッシュを作成します。モデルツリーにおいて、パート/boardまで展開し、メッシュという項目が表示されるようにします。次にメッシュ(空)の項目の右クリックメニューからコンテキストの切り替えを選択します。ダブルクリックでも同じ操作が行えます。

メッシュコントロールの設定

ツールボックスエリアから、メッシュコントロールの割り当てをクリックします。メッシュコントロールダイアログにおいて、要素形状:4辺形、テクニック:構造にチェックを入れますOKボタンをクリックしてダイアログを閉じます。この設定により4辺形の要素が規則的に並ぶようにメッシュを作成することができます。

要素タイプの割り当て

今回はシェル要素としてS4R(4辺形1次要素の低減積分)を使用します。要素のついての詳しい説明は5項を参照してください。

ツールボックスエリアから要素タイプの割り当てをクリックします。

上記操作で現れる"要素タイプ"ダイアログにおいて、要素ライブラリ:explicitジオメトリ次数:線形ファミリ:シェル4辺形の要素コントロール:低減積分を選択します。ほとんどデフォルトですのでexplicitを選ぶだけだと思います。その他の詳細オプションもデフォルトでOKです。

最後にOKボタンをクリックして要素タイプの設定を終了します。

シードの定義

シードとはメッシュをどのようなサイズで分割するかということを決める設定です。モデル上に予めメッシュの基準点となる種(シード)をばらまきます。

エッジのシード:数で分割をクリックし、ビューポート上で回路基板の4辺のエッジをShiftキーを押しながらすべて選択します。プロンプトエリアの完了ボタンをクリック、エッジに沿った要素数をに10と入力します。最後にEnterキーを押します。

メッシュの作成

これでメッシュを作成する準備が整いましたので、パートのメッシュをクリックします。プロンプトエリアに"パートをメッシュ分割しますか?"と聞いてきますので、"はい"をクリックします。

メッシュ分割が完了すると下図のようにモデルで確認することができます。

床面のメッシュ作成

同様の手順ですので詳しくは説明しません。ご自身でやってみてください。ただしプレートの場合と異なる部分のみ以下に示します。

要素タイプはexplictのR3D4R(4辺形1次の剛体要素)を使用します。要素サイズは1mmとします。

緩衝材のメッシュ作成

メッシュコントロール

要素タイプはexplicitの6面体1次要素の低減積分(C3D8R)を使用します。

エッジのシード:数で分割の設定は下図の通りです。

下図のようにメッシュが作成されます。

これで解析モデルは完成しました。モデルの外観は下図のようになります。

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解析ジョブの作成と投入

解析ジョブの作成

解析モデルが完成したので、解析ジョブを作成して計算を実行してみましょう。モデルツリーにおいて解析を展開してジョブの項が表示されるようにします。ジョブの右クリックメニューから"作成"を選択します。この時、ジョブモジュールに自動で切り替わります。

上記操作で現れる"ジョブの作成"ダイアログでジョブの名前にCircuit_Jobと入力モデルを選択(Model-1)します。続けるボタンをクリックします。

続く"ジョブの編集"ダイアログにおいて、精度タブのAbaqus/Explicit数値精度を倍精度に設定します。一応その他のタブの設定項目などを確認してOKボタンをクリックします。

ワーキングディレクトリの設定

解析結果のファイルやログファイルなどはワーキングディレクトリに作成されます。予め設定しておかないと、どこにファイルが保存されたのか解らなくなってしまうこともありますので、一応設定しておきましょう。

ファイルメニューからワーキングディレクトリの設定を選択します。ご自身の環境に合わせて設定ください。

解析ジョブの投入

モデルツリーにおいて、先ほど定義したジョブCircuit_Jobの右クリックメニューから"ジョブの投入"を選択します。この操作で計算が実行されます。計算が実行中はジョブ名の横に"実行中"と表示され、計算が終了すると"完了"に変わります。

実行中にCircuit_Jobの右クリックメニューから"モニタ"を選択しますと、計算中のログが表示されます。

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解析結果の表示

結果ファイルの読み込み

モデルツリーにおいて、ジョブ名(Circuit_Job)の右クリックメニューから"結果"をクリックします。

とりあえずコンターを変形図にプロットで結果を表示した図が以下です。

メニューバーから、アニメーション/時刻歴を選択しますと、解析結果がアニメーションで表示されます。

 

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