1.はじめに|FEMを体感しよう
有限要素法は難しくない!?
FEMの入門書では、入門とはいえ高等な数学がいきなり出てくるために挫折した方も多いのではないかと思います(実は私もそのうちの一人ですが・・)。しかし、FEMの本質的な流れを理解するだけなら、実は簡単な数学だけで十分なのです。
ここでは簡単な例題を一緒に手計算で解いていくことで、FEMソフトウェア内部でどのような処理をしているのかを体感していただきたいと思います。用いる要素は図1-1のような1次元のロッド要素です。この要素を用いるだけなら難しい数学は必要ありません。
FEMの理解を難しくしている要因はいろいろあると思いますが、そのひとつは使用する要素にあると考えられます。2次元や3次元要素などでは、その面積や体積を求めるのにどうしても積分の考え方を用います。しかも一筋縄ではいかず、ガウスの積分など座標変換を必要とする手法を用いるため、また複雑で難解です。
本連載ではその要素に最も簡単なものを用いることで、数学的な処理を簡単にして、FEMの本質的な流れである要素剛性マトリクスから全体剛性マトリクスを組み立てるステップや、境界条件がマトリクス上でどのように設定されるか、などについての説明に注力します。
このようなFEMの全体的な流れを理解しておくことは、効果的にFEMを活用する上で非常に重要なことだと考えます。また、今後実用的な要素に展開して学習をする場合も理解しやすくなると考えられます。ぜひ一度は手計算で有限要素法を体感をしておくことをお勧めします。