6.要素の種類|FEM構造解析基礎
FEMではいろいろな種類の要素が利用できて、それぞれ解析目的や計算精度などを考慮して、適切に使用する要素を選択する必要があります。
まず要素は大きく分けて、0次元要素(スカラー要素)、1次元要素、2次元要素、3次元要素に分類することができます。
0次元要素
値だけを持つ要素でスカラー要素とも呼ばれます。主には集中質量、スカラーばね、減衰などを表現するために用います。要素自体に形状を持たず特性のみを情報として持っています。
例えばNASTRANのCONM2という要素は集中質量をモデリングするために使用します。その属性情報には質量や慣性モーメントを設定します。この要素自体では大きさを持ちませんが、ある質量、ある大きさを持った物体がその節点上にあるかのようにモデリングすることができます。
スカラーばねや減衰も同様に大きさを持たず、設定した節点が変位した場合に、そのばね定数に応じた反力を発生させるようモデリングすることができます。
1次元要素
いわゆる棒や梁など細くて長いものをモデル化します。要素の見た目としてはただの線ですが、その線に材料特性や断面特性などを定義することで剛性を表現します。3次元ソリッド要素などを使用するよりも圧倒的に自由度を少なくすることができますので、計算負荷を非常に少なく抑えることができます。
しかし、3次元的な形状を表現していないので、他部品との結合部や穴などによる局部的な応力集中は見ることができません。うまく使えば計算負荷を抑えつつ、高精度な計算モデルを作成することができます。
2次元要素
薄板のモデル化によく利用されます。見た目には厚みなくぺらぺらの紙みたいですが、材料特性や厚みを定義して剛性を表現します。三角形や四角形の形状をしています。
一般的には三角形より四角形の方が計算精度がよいとされています。また三角形、四角形それぞれに1次要素や2次要素があります。これは要素内部の変位関数を近似する次数を表していまして、1次要素よりも2次要素の方が精度が良いです。しかし計算負荷が上がりますので、非線形解析などでは1次要素が使われることが多いです。
3次元要素
3次元の形状を持った要素です。3DCADで作成したソリッドモデルそのまま形状を表現することができるため形状の近似性はよいです。一つ一つの要素は立方体や三角柱をした形状をしています。厚板物や鋳物などのモデリングに適しています。薄板物に対して3次元要素でモデリングしようとすると要素数が極端に多くなってしまったり、要素がつぶれた形状になってしまい計算精度が悪くなってしまったりすることがありますので、そのような時は先に述べた2次元要素を使用します。
それぞれの要素に対して、形状違いや次数の違いなどでたくさんの種類が存在します。モデリングしようとしている対象の形状や要求される精度、あるいはモデリングにかけることのできる工数などを考慮して適切な要素を選択します。