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3.重み付き残差法|FEM基礎理論

前項で求めた支配方程式を解く方法として数種の方法がありますが、ここでは重み付き残差法による方法ついて簡単に説明します。

重み付き残差法は仮想仕事の原理に代表されるエネルギー原理が適用できない問題へも応用できるため、多くの分野で用いられるようになってきています。重み付き残差法には重み関数の違いで、選点法、モーメント法、ガラーキン法等の方法がありますが、ここでは最もよく用いられるガラーキン法について説明します。

重み付き残さ法による式展開

まずは前項で求めた1次元構造解析の支配方程式をもう一度以下に記します。

 ・・・(3-1)

式(3-1)の左辺は本来厳密には0にならなければなりませんが、近似式で置き換えた場合は0にならないこともあり、これを残差として考えます。この残差に任意の関数vを乗じて積分区間0〜lの範囲で積分します(今回は1次元で考えていますので、lの意味は解析対称の構造物の長さと考えてください)。本来0の関数に何かを乗じて積分しても0になるはずなので右辺は0となります。これを式に表したのが下式(3-2)です。

 ・・・(3-2)

上式を少し展開して、

 ・・・(3-3)

左辺第一項を部分積分しますと下式のようになります。

 ・・・(3-4)

上式の第一項を展開して整理しますと、

 ・・・(3-5)

u0:0の位置での変位、ul:lの位置での変位、v0:0の位置での任意関数v、vl:lの位置での任意関数v

ここで、上式のdu/dxはひずみを表すことを考慮すると、ひずみにEを乗じたものは応力に、応力に面積Aを乗じたものは荷重Pを表しますので、下式(3-6)のように置き換えることができます。

 ・・・(3-6)

p1:0の位置(積分区間左側)での荷重、p2:lの位置(積分区間右側)での荷重

最終的には以下のような式(3-7)になりました。

 ・・・(3-7)

式(3-1)は強形式と呼ばれるのに対して、重み付き残差法で求めた式(3-7)は弱形式と呼ばれます。式(3-1)に対して式(3-7)は2階の微分を含む関数から1階の微分を含む関数に変換されていますので、近似に使う関数が1階微分可能な関数でよいため。2階微分が可能なことが要求される式(3-1)より制約が”弱く”なっているという意味で弱形式と呼ばれるようです。

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