7.有能なCAE技術者になるために|CAE基礎
CAEは製品開発を支援する検討ツールです。そのツールを本当の意味で活用するためには、解析対象の製品知識はもちろん、設計や工学的なこと、数値解析の性質等も理解した上で取り組む必要があると考えます。
この項では、解析アプローチの立案から解析評価、改善検討までこなせる有能なCAE技術者になるためにはどうすべきか?について考えてみたいと思います。
CAE技術者に要求される能力
まず、CAE技術者に要求される能力とはどのようなものでしょうか。私が考えるCAE技術者に要求される能力とは以下です。
- 物理現象の本質を見極め、適切な数理モデルに置き換えることができる能力。
- 解析結果を正しく評価し、そこから妥当な判断を下すことができる能力。
- 理論的な立場から現象を分析し、解析目的に応じた改善案を提案できる能力。
- 依頼元から解析に必要な情報を聞き出したり、解析結果を簡潔に正しく相手に伝えることができるコミュニケーション能力
こういった能力は何も先天性のもではなく、日々の努力で身に付くものだと考えています。努力とはできるだけ多くの専門知識を身につけることだと私は考えます。
CAE技術者が身につけるべき知識
具体的には以下のような分野に関する専門知識を、できるだけ多く身に付けることがCAE技術者としての仕事の質を向上させることに繋がると考えます。
- 工学全般に関する知識
- コンピュータに関する知識
- 数値解析に関する知識
かなり大雑把に書きましたが、各分野ともそれぞれ非常に広範囲の内容です。またさらにその下に細分化された分野が多数存在します。それゆえ勉強に終りがなく、もしかしたら一生勉強です。逆にそこが面白いのかもしれませんが・・。
気をつけたいのは勉強を勉強として終わらせず、身につけた知識はしっかり業務に生かしていくことです。解決困難な技術的問題でも、勉強した知識に何か解決のためのヒントがあるかもしれません。知っているのと知っていないのでは大違いで、知っていればすぐ解決できることが、知らないことで数カ月かかってしまうこともよくあります。したがってできるだけ多くの知識を身につけることが重要です。
間違い安いのは"使用する解析ソフトウェアのオペレーションさえ習得すればよいということではない"ということです。オペレーションを習得したとしてもその意味を理解していなければ、まともな解析などできるはずありません。境界条件や荷重が異なるとまったく現実と異なる結果を出してしまうこともあります。また、解析して出た結果が正しいのか、間違っているのかの判断さえもできません。
これらの知識を身につけるために有効と思い私が実践していることは、身につけたい知識に関連した資格を取ることです。資格を取ることのメリットは、目標ができてモチベーションを上げることができる、体系的にその分野について理解できる、ということです。
CAE技術者が身につけるべき知識に関連した資格
下にCAE技術者の技術レベル向上に有効と思われる関連資格をリストします。
- 工学全般に関する知識
- 技術士(機械部門) ・・・1次試験で機械工学全般+科学技術全般の知識を問われます。
- コンピュータに関する知識
- 情報処理技術者試験・・・コンピュータを扱う仕事をする者として最低限の知識は必要です。基本情報技術者相当の知識は必要だと考えます。
- 数値解析に関する知識
- 計算力学技術者(CAE技術者)・・・これはそのままですね。この試験はかなり勉強になります。即使える知識もたくさんありますので、CAE技術者を志す者は取得しておくべきと考えます。
これらの資格を取ることで得た知識を有効に活用して業務をこなすことで、先に挙げたCAE技術者に必要な能力がおのずと身に付き、ひいては有能なCAE技術者に成長していくのではないかと考えます。私もそれを目指して日々勉強する毎日です。
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