1.はじめに|機械力学
はじめに
この講座では、CAE技術者が振動解析を実施する上で、最低限必要な振動に関する理論についてまとめます。
振動に関する理論はいろいろ複雑な問題もたくさんありますが、まずは単純な1自由度の振動理論を正しく理解することだと考えます。なぜなら、自由度が多くて複雑な問題であっても、モード座標系という考え方を適用すれば、結局は単に独立した1自由度振動の集まりに置き換ることができるからです。この辺の考え方については別途述べますが、1自由度の振動特性について理論的に深く考察することが、振動現象を理解する上で重要だということです。それが理解できていれば、おのずと振動問題に対する改善の方向が見えてくるなど、多くの問題に応用できるようになり、ひいてはCAEを用いた振動解析を有効に活用できる技術を身に付けられるようになると考えます。
したがって、ここでは一般の振動系の教科書のように、多自由度も含めたさまざまな問題に対して理論解説するのではなく、1自由度の振動問題に限定して解説します。その代り詳しく、なるべく省略することなく説明していきたいと思います。