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音響解析例-単純パイプの音響特性計算、
サイドブランチホースの効果確認|XFEM

1.解析モデル

ここで説明するサンプルは付属のsampleフォルダにありますので確認してみてください。

メッシュファイル SimlePipe.VOR、SimlePipe_SideBrach.VOR
XFEMファイル 音響解析サンプル1.xfem、音響解析サンプル2.xfem

まずは単純なのパイプ(φ100、長さ1000mm)の音響特性を計算してみます。後でその音響特性の改善検討をXFEM上で行なってみたいと思います。

○境界条件
  • 左端境界(入口):音圧0.002
  • 右端境界(出口):音響アドミタンス φ100PIPE

○要素特性

  • 名前:空気
  • 密度:1.184e-9
  • 音速:340000

○解析条件

  • 解析周波数:170Hz
  • 周波数ステップ:10〜500Hz、5Hzきざみ

なぜ、解析周波数を170Hzにしたかというと、1mのパイプの共鳴周波数が170Hzだからです。
一応式を書いておくと、

f=i*C/(2*l)

共振周波数f、音速C、管長さl、iは整数。
1次の共振はi=1で170Hzになります。2次はi=2で340Hzになります。

2.計算結果

○音圧分布

170Hzの音圧分布です。これは 1次共鳴の状態になります。

○音圧レベル分布

170Hzの音圧レベル分布です。このとき基準音圧は 基準音圧:2e-9

これにより管の真ん中が音圧の腹になるモードであることが確認できます。

○周波数ステップ解析

周波数範囲:10〜500Hz、周波数間隔:5Hz

図は管の入口と出口に設定した観測点における音圧レベルの差を表示しています。縦軸が下に行くほど、音が増幅する傾向にあるといえます。つまりは共鳴している可能性があると考えられます。
図より、谷になっている周波数は170Hzと340Hzです。これは手計算で求めた理論共鳴周波数と一致します。

単純なパイプの場合、手計算で共鳴周波数を計算できますが、複雑な形状ですと手計算では求められません。周波数ステップ解析機能を用いると簡易的に共鳴周波数を把握することができます。
一般的な手順としては、先に共鳴周波数を周波数ステップ解析により求めておき、後で解析周波数に先に求めた共鳴周波数を入力して再度計算し、共鳴時の音圧分布を見るというステップを踏みます。

3.単純パイプの音響特性改善

ここでは先の単純パイプの音響特性を、自動車などでよく使われるサイドブランチホースにより改善してみたいと思います。

まず、ねらいの周波数を定めます。

音源の周波数域が〜200Hzとします。この場合先で解析した1mのパイプでは170Hzに共鳴があるため、音が増幅されて騒音問題になります。そこでサイドブランチホースにより170Hzの共鳴を逃げる検討をします。→ねらい周波数170Hz

サイドブランチホースはその長さにより周波数が決まります。

f=i*C/(4*l)

ここで、fはサイドブランチホースの共鳴周波数、Cは音速、lブランチホースは長さ、iは奇数です。
したがって170Hzをねらうには500mmのサイドブランチホースを用いれば良いことになります。
以下のモデルは先の単純パイプに500mmのサイドブランチホースを装着したモデルです。
境界条件等は一緒です。

○周波数ステップ解析

周波数範囲:10〜500Hz、周波数間隔:5Hz

右図は間の入り口出口に設定した観測点における音圧レベル差を表示しています。
図より、170Hz付近の共鳴による谷がなくなって山になっていることが確認できます(この計算ですと165Hzがピークとなっています)。 これは入り口と出口の差を表わしていますから、この周波数170Hzで音が大きく提言していることになります。

○音圧分布

周波数:170Hz

○音圧レベル分布

周波数:170Hz、基準音圧:2e-9

サイドブランチホースを共鳴させることで出口の音圧を下げていることが確認できます。

実際の設計においてはレイアウトの関係上、形状が複雑なものになるでしょう。このような時、手計算ではどうにもなりません。XFEMを用いれば簡単に音響特性の計算、改善検討を行うことができます。