TOP->CAE技術->実測値による検証方法

4.計測データの処理|実測値による検証方法

同時刻の応力を抽出する

実験により計測される応力は時刻歴のデータとして記録されています。したがって、まずは応力波形を詳しく分析し、計測された時間の中で最も高い応力が発生する時刻を特定します。そしてその時刻において、すべてのひずみゲージの応力を抽出します。中には減衰等の影響で若干の遅れが発生して、正確に同時刻で抽出すると山のピークが一致しない場合があります。そのような場合は、位相遅れ分を補正して山のピークの応力を採用する場合もあります。この辺は計測部位や状況で異なりますが、技術的根拠があれば臨機応変に対応した方がよいでしょう。

図4-1

この同時刻で応力値を切り出す作業は手間がかかりますが、FEM線形静解析では、ある一瞬の状態しか解析できませんのでそのような状況と整合性を取るために、実験値の方も同時刻で応力を抽出する必要があるのです。

ここで注意しなければならないのは、実験において各ひずみゲージの最大応力が同時刻でない場合です。疲労強度を判定する場合、最大・最小応力から応力振幅や平均応力を算出して評価する方法(修正グットマン線図による方法など)がよく用いられますが、このような強度に影響する応力が発生している時刻が、ひずみゲージごとに異なる場合は厄介です。FEM的には最も厳しい条件で解析したいのですが、その状態が一つに絞れないわけですから。このような状況でも、数点の時刻で切り出して評価するなど、工夫すれば可能な場合もありますが非常に手間がかかりるのが難点です。FEM上での評価を簡単にするためにも、ある時刻で全体の応力状態を代表できるような時刻を特定しましょう。

[前へ] | [次へ]