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アングル材の残留変形解析|解析事例

解析モデル

 下図のようなアングル材に曲げ変形を与え、その後除荷した時の残留変形量の解析をしてみたいと思います。今回は材料も降伏しますし、大きな変形を取り扱うので、SOL106の非線形静解析機能を用います。また、この時ポイントとなるサブケースの使い方についても説明します。

解析対象及び条件

 要素はCQUAD4のシェル要素を用いました。

サブケースの使い方

 今回の解析では2種類の荷重セ ットが必要になります。一つは強制変位を与える条件を定義した荷重セット、もう一つは除荷する条件つまり荷重を与えないという条件を定義した荷重セットです。

 このような解析をするためには、一つの解析ジョブ内で複数のサブケースを定義します。サブケースとは荷重条件と拘束条件のセットやその他解析に必要な条件を一つにまとめたものです。サブケースを用いることで、複数の異なる解析条件の解析を一度に計算することができます。また、非線形解析の場合は、前に実行したサブケースの最終の計算結果を引き継いで次のサブケースの計算を実行します。したがって、サブケース1として強制変位の条件で計算して、サブケース2として荷重のない条件を定義しておけば、強制変位後に除荷した条件を計算することができます。

 NASTRANのインプットファイルからサブケースの定義だけ抜き出したのが以下です。サブケース1でそれぞれIDが1番の拘束、荷重、非線形の解析条件を定義して、サブケース2でそれぞれIDが2番の拘束、非線形の解析条件を定義しています。サブケース2では荷重はありません。

サブケースの設定例

SUBCASE 1
  SPC = 1
  LOAD = 1
  NLPARM = 1
SUBCASE 2
  SPC = 2
  NLPARM = 2

解析結果

サブケース1の解析結果

 サブケース1の解析結果をアニメーションで表示したのが以下です。根元付近で座屈しながら変形していく様子が確認できます。

 今回はシェル要素を用いているのですが、FEMAPにはシェルの厚みを表示する機能があるので、それを使って画像をアウトプットしてみました。

サブケース2の解析結果

 多少変形が戻る様子が確認できます。これをスプリングバックといいます。これは変形させられた際に、部材内部に発生した弾性ひずみが元に戻ろうとする力で起こります。降伏点が高い材料ほどスプリングバックが大きくなるため、プレス成型などの塑性加工において、高精度な仕上がり寸法が要求される場合などには問題になります。

 今回は強制変位を与えることで部材を変形させましたが、荷重を与えても同様です。今回紹介したようなやり方により、大きな変形を伴う荷重を受けた後、除荷したとき、対象部材にどの程度の残留変形が残るかを評価することができます。

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